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知っておきたい「歌舞伎」のいろは~400年の伝統を持つ日本固有の芸能、歌舞伎の楽しみ方~

   

知っておきたい「歌舞伎」のいろは~400年の伝統を持つ日本固有の芸能、歌舞伎の楽しみ方~

いつの時代も何かと話題豊富な市川海老蔵さん、ドラマなどで大活躍している片岡愛之助さん。その他若手歌舞伎俳優の活躍をテレビや映画で見ない日はありません。彼らの母体は、日本発祥で400年の歴史を持つ伝統芸能「歌舞伎」。近年盛り上がる歌舞伎について、学んでみましょう。

簡単にいうと「歌舞伎」って?

歌舞伎は日本の伝統芸能、だから格調高く高尚なものと思っていませんか? 歌舞伎には400年以上の歴史がありますが、江戸時代は斬新で前衛的な芸能でした。当時は時代の流行をうまく取り入れた、笑いあり涙ありの一大エンターテインメントで、庶民に最も身近な大衆娯楽だったのです。今も昔も日本人の美意識や感性はそれほど変わっていないはず。ちょっとした知識があれば、初心者でも気軽に観ることができます。

公演では何をやるの?

歌舞伎は昼夜入れ替えの二部構成で、演目はお芝居(狂言)と、舞踊(所作事)の組み合わせが基本です。現在は、全編通すと何段にも渡る大作のうちの、有名な幕や象徴的な幕だけをダイジェストで上演する形が多くなっています。

ストーリーいろいろ

お芝居である「狂言」は大きく分けて、「時代物」と「世話物」があります。「時代物」の代表は『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』など。江戸時代からみて過去にあたる公家や武家社会の史実をベースにしています。ただし、大胆に脚色されており、歴史上滅びた人物が実は生きていたといった趣向や、時空を超えたワープなどの飛躍的な発想も盛り込み、ドラマチックに作り込まれた世界観が楽しめます。「世話物」は江戸時代の町人の日常を描き、現実に起こった三面記事的なニュースをリアルタイムで芝居に仕立てたもの。『廓文章(くるわぶんしょう)』『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)』のように恋愛のもつれや心中など、スキャンダラスな人間模様を描くワイドショー的な面がありました。いつの時代も普遍的な恋人、夫婦、親子間の愛情を切なく描き出しています。

舞や音楽も魅力

「所作事(しょさごと)」と呼ばれる歌舞伎舞踊では、『藤娘(ふじむすめ)』『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』など女方の美しさが堪能できます。また、『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』は人気舞踊の一つで、後半に行なわれる勇壮な獅子の毛振りが見どころです。歌舞伎は生演奏の音楽劇でもあります。人形浄瑠璃を元にした狂言が主流だったので、登場人物のセリフと並行で、節回しのあるナレーションのような語りと三味線音楽がセットになった「義太夫(ぎだゆう)」がつきもの。そのほか「常磐津(ときわず)」、「清元(きよもと)」、「長唄(ながうた)」などの三味線音楽が所作事のBGMとして登場します。

主人公のキャラ設定

歌舞伎では定番の演目を繰り返し上演するため、ストーリーを追うというより、どの役者がどの役どころを演じるかに観る側の楽しみがあります。超人的ヒーローまたはモテる優男のどちらか、これがよくある歌舞伎の主人公のキャラクターです。スーパーマンのようなヒーローを豪快かつ様式的に演じるのが「荒事(あらごと)」で、この芸を始めたのは、初代市川團十郎。単純で痛快な展開が江戸の町で受けて一躍スターに上りつめます。対照的に、大阪や京都で大成したのが上方歌舞伎の初代坂田藤十郎。男女の恋愛シーンを色気たっぷりに柔らかく表現する「和事(わごと)」の魅力をつくり出しました。どちらのスターも、歌舞伎が今のように成年男子だけで演じられ始めた元禄時代に登場しました。

お家芸と世襲

初代團十郎が亡くなると、二代目が演技法を踏襲し、名優の名跡と得意芸を代々受け継ぐ世襲の流れができます。七代目團十郎が「歌舞伎十八番」として市川家が得意とする演目18本を発表すると、他の家もこぞって家の芸を公言しました。ちなみに、昨年十一代目が亡くなり、今は團十郎の名を冠する役者は不在となっていますが、将来的に息子の海老蔵さんに襲名の期待がかかります。当代坂田藤十郎は四代目で人間国宝として現役で舞台に立っています。ドラマ『半沢直樹』で人気が出た片岡愛之助さんが属するのは片岡一門。初代片岡仁左衛門は主人公の敵役が当たった上方の名優だったそうです。

歌舞伎鑑賞のポイント

東京の歌舞伎座は、全国で唯一の歌舞伎専門劇場で、毎月異なる公演を一年中上演しています。ほかに名古屋・御園座、京都・南座、大阪・松竹座の公演もホームページで情報が随時アップされます。「歌舞伎鑑賞教室」と題した解説付きの公演もあり、こちらは特に初心者におすすめです。鑑賞するときに、内容や背景までしっかり理解したいなら、イヤホンガイドや詳しい解説付きのパンフレットをお伴にぜひ。また歌舞伎座には、公演の一幕だけを気軽に鑑賞できる一幕見席も用意されています。

シネマ歌舞伎とは

まずは気軽に試してみるなら、スクリーンで楽しむという方法もあります。全国約30の映画館で上映される松竹の「シネマ歌舞伎」。2005年から定期的に、過去に録画された名舞台をデジタル上映しています。はまるとどんどんおもしろくなる深い魅力にあふれた歌舞伎。一度観に行ってみてはいかがでしょうか。

見せ場は観客参加型

独特の「隈取(くまどり)」メイクに、ここぞという見せ場でポーズを決める「見得(みえ)」、花道を飛び跳ねるように歩く「六方(ろっぽう)」など、どこか滑稽にも見えてしまうオーバーな演出。これらは、照明や音響技術が未発達だった時代から、食事や会話の合間に「ながら視聴」されていた中で生まれたもの。誰が見てもわかりやすく役者の存在感を誇張し、観客に強く印象づけるためのものでした。客席からは「成田屋!」などとかけ声が上がり、何ともいえない緊張感に包まれて舞台上と客席が一体感に包まれます。観客を巻き込みながら展開する、歌舞伎ならではの醍醐味です。

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